先日「ACTIVEのハイスロットル」を取り付けました。
ハイスロは通常のスロットルに比べ、ワイヤーを取り付けるスロットルの経が大きくなっています。
ノーマルのスロットルに比べ、少ない開度でもアクセルを開ける事ができます。
どの程度ハイスロにするかにもよりますが、アクセルを全開にする際の「握り変え」が必要なくなります。
特にサーキットを走る車両では定番のカスタムです。
サーキットでは「フルスロットル」にする時間が長いので、ハイスロにすればそれだけタイムアップが望めますよね。
公道を走る上ではあまり関係ないように思うかもしれませんが、特に「小排気量〜中排気量」のバイクではおすすめです。
排気量が小さいバイクでは、加速時に大きくアクセルを開ける必要がありますからね。
大型車から乗り換えると、右手がとても忙しいです(笑)
逆に排気量が大きいバイクでは、よりシビアなアクセル操作が必要になります。おすすめはしません。
※社外のキャブに変えた場合、純正のスロットルワイヤーが使えなくなることがあるので仕方なくハイスロを取り付けることもあります。
スロットルワイヤーは消耗品なので、いずれ交換するときがきますし、エンジンに負担がかかるカスタムでもありません。
この記事は以下のような人におすすめです。
・中古バイクを買ったらアクセルが重い。
・アクセル操作を楽にしたい。
目次
1:新品のワイヤーも注油
車両に取り付ける前に「ワイヤーに注油」します。
新品でも在庫期間がありますし、注油不足だとワイヤーの寿命も短くなりアクセルも重くなります。
注油自体は難しくないですが、取り外すのは面倒なので、取り付ける前に注油しておきましょう。
物干し竿に固定して、上部から注油します。
ワイヤーに注油する専用品(インジェクター)もありますが、僕は使わずにそのまま注油してます。
オイルが重力で下に落ちてきます。反対側からオイルが出てきたら完了です。
注油に使うオイルはあまり硬くないものが良いです。
硬い油分(グリスなど)を使うと、動きが固くなってしまいます。
エンジンオイルなどでも代用出来ます。廃油を再利用してもいいですが、手元になかったので今回はワコーズのメンテルーブを使いました。
※タイコの取り付け部などにはグリスを使いますが、スロットルワイヤー本体にはグリスは使いません。
556は揮発性が高いので、すぐに油分が飛んでしまいます。ワイヤー用のオイルも売っていますので、できれば専用品を使いましょう。
オイルが浸透して下から出てくるまで、少し時間がかかります。
だいたい数時間〜はかかると思いますので、一晩放置します。
※洗濯バサミにオイルが付着するので、しっかり拭き取っておきましょう。
2:純正スロットルの取り外し
①:タンクの取り外し
スロットルワイヤーはタンクの下を通っています。
そのため「スロットルワイヤー」の交換ではタンクを取り外します。
スロットルワイヤーの取り回しは丁寧に行わないと、「アクセルが重く」なったり「ハンドルを切った際の動き」がおかしなことになります。
そうなると乗りにくいバイクになってしまうので、丁寧に取り付ける必要があります。
とくに、ハンドル交換やワイヤーの長さを交換する時は要注意です。
タンクの取り外しには、シートとタンク後端部にあるボルト計3本を取り外します。
タンクとキャブは燃料ホースがつながっているので外します。
負圧キャブなので、エンジンが掛かっていなければガソリンは出てこないはずですが、一応燃料コックをOFFにしておきます。
あとは上に持ち上げればタンクは外せます。
もし落とすと大惨事です。慎重に行いましょう。このバイクはタンク容量が12Lなのでそこまで容量は多くありません。大型バイクで20Lを超えているタンクはとても重いです。ガソリンが減って状態で整備をはじめた方がいいかもです。
タンクの縁にモールを取り付けると、タンク取り外し後地面に置いても傷が付きません。
タンクの縁は塗装がかけやすく、そこからサビが発生しやすいので「タンク取り外しを伴う整備」を自分で行なう人は取り付けておくといいと思います。
※SRやXJRでは純正で装着されていますし、オートバイ向けの製品もありますよ。
②:グリップの取り外し
今回は、スロットル自体を交換しますので、グリップを取り外します。
グリップを再利用しない場合は取り外さなくてもいいです。僕はケチなので使えるものは再利用します。(笑)
取り外し方はいろいろありますが、駐輪場ではコンプレッサーが使えません。なので、パーツクリーナーを使用します。
ノズルを差し込んで、グリップとスロットルの間に少しづつ浸透させて行きます。
ボンドなどが使われていると、取り外しに苦労します。僕は取り付けに接着剤を使いませんが、トラブルになったことはありません。
ちなみに僕はホンダの純正グリップ、通称「ロッシグリップ」を愛用してます。
昔、他社のバイクに乗っている時からこのグリップを使ってます。
たしかMOTOGPライダーのバレンティーノ・ロッシがホンダからヤマハに移籍する際に、「グリップだけはホンダのものがいい」ということで、わざわざ取り寄せたことからこの呼び方が浸透したと思います。
CBRなどに純正で使われているものですが、形状が細くて握りやすいですしなにより耐久性が抜群なんですよね。
耐震ゲルが使われた社外品を使っていたこともありますが、あのタイプってすぐにすり減ってしまいます。まるで消しゴムのようにすり減ります(笑)
握り心地はいいんですがね・・・
③:キャブからスロットルワイヤーを取り外す
スロットルワイヤーはキャブにつながっています。この車両ではスロットルワイヤーは2本(引き・戻し)あります。
アクセルに連動する「引き側」のみの車両もありますが、なんらかのトラブルでスロットルが自然に戻らなくなった時のために「戻し側」もついています。
今どきのバイクはだいたい「引き」「戻し」の2本のスロットルワイヤーが装着されているのではないでしょうか?
アクセルを開けた時に短くなる(引かれる)方が「引き」でアクセルを戻した時に短くなる(引かれる)方が「戻し」です。
この車両では後輪側(写真左)が「引き」側で、前輪側(写真右)が「戻し」側です。
スロットルワイヤーはダブルナットで止まっているので、スパナやモンキーレンチを使い取り外しましょう。
CB400SS、CL400では10mmのスパナが2本必要です。
④:ハンドルからスロットルを取り外す
スロットルは2本の+ネジで止まっています。
※ +ドライバーは工具の精度が命です。ネジをナメてしまった方はPBのドライバーを使ってみてください。
感動しますよ(笑)
先に「スロットルワイヤー」をキャブから外しているので、このネジを外せばハンドルからスロットルを外せます。
とりあえずこれで車両から「スロットル」「スロットルワイヤー」を外せました。
※純正ハンドルにはスロットルを固定するための穴が空いています。回り止めです。それに対応するように純正スロットルには突起がついていますが、これはが社外品のハンドルに交換する際邪魔になって取り付けが出来ません。純正スロットルを社外ハンドルに取り付けるためには、ヤスリなどで突起を削り取る必要があります。汎用品には突起はついていません。
社外品では、突起はありませんので削ってしまっても使用には問題ありません。
2:ACTIVEの「ハイスロ」の取り付け
ここからは取り付けです。
今回は定番のACTIVEのハイスロを取り付けていきます。
僕のバイクには、「CB400SS」の純正ハンドルがついていますが、ワイヤーは「1050mm」を使いました。
ハンドルクランプにスペーサーを入れて、数センチ高くしようと考えているので多少余裕がある長さを選びました。
ワイヤーの選び方
汎用品にはワイヤー長とワイヤーのタイプ(メッキ・ステンなど)を選ぶ必要があります。
TYPE1は取り付け金具が「メッキ」、TYPE2は取り付け金具が「ステンレス」、TYPE3は取り付け金具が「ステンレス」でワイヤーの色がシルバー(メッシュブレーキホースみたいな感じ)になります。
実はこのハイスロを取り付けるのは2回目なのですが、以前はメッキタイプを使っていました。
なんでかというと、メッキの方が500円くらい安いんですよね。2本で1000円くらいです。
この1000円を高いと考えるか、安いと考えるか・・・
こう思って、安いメッキを買ったのですが日本は湿度が高いので、屋外保管では数年でこうなります。
メッキタイプのスロットルワイヤーはすぐサビます。(ちゃんとカバーをしてました)
外側がサビても使用には問題ないですが、ハンドル周りは目に付きやすい場所なので、サビている部品があるとイマイチですよね。(ACTIVEの汎用スロットルワイヤー「メッキ」がサビやすいのは有名な話です。)
スロットルワイヤーは数年で買い換えるもの、消耗品です。(走行距離、保管状況にもよる)
ずっと使い続ける部品ではないですが、1000円でサビから開放されることを考えると、ステンレスがおすすめです。
ちなみにメッキの下地からサビが発生した場合、ワイヤーブラシなどでサビを落とすとメッキも剥がれてしまうため、さらにサビが発生しやすくなります。メッキ加工された金属部品が下地からサビてきた場合、コストを考えると買い替えが1番いいと思われます。
①:注油したワイヤーをスロットルに装着
スロットルをハンドルに取り付ける前に、ワイヤーをスロットルホルダーに固定します。
90度曲がっている方がスロットル側です。回転させながら固定しましょう。
スロットルワイヤーの取り出し方(上・横・下)によって、方向が変わるので、まずどの方向からワイヤーを取り出すか決めましょう。今回は長さの関係上、上取り出しにしました。
スロットル側もキャブ側も「タイコ」を取り付けるときはグリスを塗布しましょう。
「スロットルワイヤーのタイコ」をスロットルに固定してからハンドルに通します。
あとは蓋を装着してハンドルにスロットルを固定します。(この段階では仮止めでOKです)
使用しているホルダーはアルミスロットルホルダーのTYPE1です。→公式サイトへ飛びます。
[CB400SS][CL400]はハンドルのスペースに余裕があるタイプなので、薄型のものでなくても大丈夫です。
写真でわかるとおり、純正スロットルと交換するだけでそのまま取り付けられます。純正のスロットルホルダーが結構大きいんですよね。
※車種によってはスペースの関係で、薄型スイッチに交換しないといけなかったり、TYPE2の薄型スロットルホルダーを使わないと取り付けられなかったりします。
今回使用したスロットルはΦ42かΦ44だったと思います。すいません詳しく覚えてないです。
ACTIVEのスロットル参考データを見ると分かるのですが、純正でもΦ33〜Φ37くらいの車種が多いです。
「ハイスロットル」という名前でも、組み合わせによっては純正よりも開度を広く「ロースロットル」にすることも可能です。
せっかく交換したのに、アクセル開度が数%変わるだけでは変化を感じにくいですので、Φ40〜くらいをおすすめします。
ざっくりですが、ワイヤーが2本で6000円くらい。ホルダーが6200円くらい。スロットルが2500円くらいですので、バラバラに買うと15000円くらいです。
セットになっている汎用キットを買うと12000円程度で購入できますが、このキットではワイヤーが「メッキタイプ」しかありません。
ステンレスワイヤーを選びたいなら、一度「メッキ」の汎用キットを購入して、ワイヤーが駄目になったタイミングで「ステンレスワイヤー」に交換するか、3000円程度高くなりますがバラで購入するしかないです。
ワイヤーの価格だけで比較すると1000円くらいの違いなんですが、純正から一式交換する場合「メッキとステンレス」では3000円くらいの差額が発生するということです。
「最初からステンレスのキットを出してくれよ」と思うのは僕だけではないと思いますが・・・
②:スロットルワイヤーの取り回しを決める
次にワイヤーをキャブに取り付けるのですが、「ワイヤーの取り回し」が今回の作業で1番大事です。
ワイヤーに負担がかかる取り回しをしてしまうと、「ワイヤーの寿命が短くなる」「スロットルが渋くなる(重くなる)」などトラブルの原因になるので、慎重に決めましょう。
・「スロットルやクラッチが重い」という人は要注意です。
まず、フロントフォークの間を通します。
その後、「タンクを固定するゴム」の上を通しキャブまで導きます。
クラッチワイヤーも同時に固定します。
「タンクを固定するゴムの後部」(後輪側)と「15cmほど後部にタイラップで固定できる場所」があるのでワイヤー類を固定します。(スロットルワイヤー2本、クラッチワイヤー1本)
これはマニュアルに記載されている方法で、最もワイヤーに負担がかからない経路です。
※タンクの脱着に邪魔なので、「タンクを固定するゴム」の下を通した時もありましたが、スロットルの動きが渋くなってしまいました。
※タイラップはニッパーで切断しますが、横向きに切断すると切り口が鋭利になってしまいます。
「タイラップを引っ張りながら縦に」切断すると切り口が丸くなります。
切り口が鋭利だと手が切り傷まみれになってしまうので注意です!
③:スロットルワイヤーをキャブへ取り付ける
最後にキャブに取り付けていきます。
まずスロットルワイヤーのタイコをキャブに装着してから、ホルダーに固定します。
ワイヤーに「引き側・戻し側」があるように、キャブにも「引き側・戻し側」があります。純正では引き・戻しで形状が少し違うので見分けが付きますが、ACTIVEの汎用品では外見が同じです。見分け方は単純で、スロットルを捻った時、「短くなる方が引き側」「長くなる方が戻し側」です。
キャブのホルダーは「後輪側が引き側」「前輪側が戻し側」なのでそれぞれ適合するワイヤーをキャブに装着していきます。
④:最後に調整して完成!
スロットル部は微調整のみ 今回は1センチ弱中間地点で調整しました。
ACTIVEの汎用スロットルワイヤーはスロットル部と、キャブ側、中間地点の3点で調整ができます。
メインの調整はキャブ側と中間地点です。大体の調整をしてからスロットル部で微調整します。
調整に使う工具のサイズは、キャブ部:10mmのスパナ2本 スロットル部と中間地点:8mmと10mmのスパナ です。
アジャスタブル スロットルワイヤー →公式ページに飛びます。
中間地点で3センチほど調整ができるので、長さを間違えないかぎり「スロットル部での調整」は少しで済むはずです。
※左の写真、スロットル部には一部穴が空いていますが、これはスロットルのストッパーボルトのものです。安全装置みたいなものですが、これは1本引きのスロットルで使われるもので、2本引きの車両では「戻し側」のワイヤーがストッパー代わりになります。
ACTIVE スタッフのブログで解説されています。わかりやすいですね。
無くてもスロットルの機能には問題ないのですが、水が入ってしまうので蓋をします。
ここはM5のネジになっていますが、付属の長いボルトだと出っ張ってしまい不格好です。
そこで短いボルトをホームセンターで買ってきました。
微調整が終わったら試走して、問題なければ完成です。
※この時、アクセルの遊びの調整をすることになると思うので、8mmと10mmのスパナ、コンビネーションレンチを持って行きましょう。
ACTIVE「ハイスロットル」の取り付け 〜まとめ〜
ハイスロットル取り付けのポイントは以下の通りです。
・サビが嫌ならステンレスを選ぶ
・取り付け前に「新品ワイヤーに注油」しておく
・取り回しを間違えると、「スロットルが重く、ワイヤーの寿命も短く」なってしまう。今回の作業では1番慎重に行なう
・調整できる部位は「キャブ側、中間地点、スロットル部」の3箇所あるが、「キャブ側、中間地点」がメイン。スロットル部は微調整のみ
こんなところでしょうか。
社外品のハンドルに交換されて「高さ」が変わっている車両では、ワイヤー類が無理やり取り付けられていることも多いです。
購入時から「ハンドルが社外品」に変わっている場合は要注意ですよ!
ハンドル交換って、思っているより高額になりがちです。
こんな風に考える人も多いですから、ワイヤーの注油を兼ねてスロットルワイヤーの取り付けを見直してみてはいかがですか?
今回使った道具、部品はこちら↓
ワイヤーへの注油は安定のWAKO'S「メンテルーブ」
ステンレスのスロットルワイヤー(1050mm)
ACTIVEのスロットルホルダー(TYPE1)
ACTIVEのスロットル
ACTIVEのスロットルキット(ホルダーTYPE1、スロットルφ42、メッキ金具)