オートバイを「整備・カスタム」していると、どうしても「配線関係」を触らなければいけなくなります。
電装品と言われる部分ですね。
例えば「ウインカーや、テールランプ」を交換する際や、最近だと「USBの充電器やシガーソケット」を取り付ける際も配線処理が必要です。
「USB充電器の取り付け」に関してはこちらの記事で詳しく解説しています↓
「誰でもできる」バイクにUSB充電器を取り付ける方法[簡単]
グリップヒーターの取り付け方はこちらで解説しています↓
グリップヒーターの比較と「取り付け方」を解説![両方買いました]
慣れてしまえば簡単な作業ですが、最初ってどうにも手を出しにくい所ですよね。
配線関係の作業は「専用の道具」が必要です。
ですが、自分でできるようになったほうが経済的です。
例えば「USB充電器の取り付け」をお店で作業してもらうと、「部品代+工賃(5000円〜10000円)」くらいが相場です。
(部品の持ち込みでは「割増工賃」となることも多いですし、店舗で買うとネットよりも高いです)
二輪館 ピット作業工賃表 (クリックで公式サイトに飛びます)
ナップス ピットサービス工賃表 (クリックで公式サイトに飛びます)
今回紹介する道具は、Amazonなどで購入するとどれも「1000円〜2000円」程度です。
この記事は以下のような「カスタム・整備」をやってみたいけれど、「知識・経験」はないという人向けに書きました!
この記事はこんな方におすすめ
- バイクに「スマホの充電器」を取り付けたい。
- ウインカーやテールランプを交換したい。
- メーターの配線などをきれいにまとめたい。
- グリップヒーターなどの電装品を取り付けたい。
目次
配線作業を難しく考えないで大丈夫です
学生の頃、授業でラジオを作ったり、銅線を使って通電しているかどうかを実験しませんでしたか?
バイクの配線作業も基本はこれと一緒です。
「バイクの配線」と聞くと急に難しく感じますが、「プラスとマイナス」を繋げれば電気は流れます。
単純に「配線が繋がっていれば」電気は流れるということです。
ウインカーを点灯したり、USB充電器であれば問題なく動作します。
(ハロゲンからLEDに変更する場合はリレーを変更する必要があります。)
ただバイクは「振動」がありますし、「雨に濡れる」こともあります。
バイク自体が金属の塊なので、「ヒューズが飛んだりショートしないように」配線処理を行う必要があります。
でも基本は学校の授業と同じです。
「プラスにはプラスを」「マイナスにはマイナスを」繋げればいいんです。
そう考えるとなんだかできそうな気がしてきますよね。
注意ポイント
自分で作業をすることのデメリットとしては、失敗するとヒューズが飛んだり、取り付けたい部品がうまく機能しなかったりします。
ヒューズは数十円で購入できますし、エンジンが壊れるような自体にはなりません。
バイクの配線作業に「必要な道具」
配線に接続する端子
「ウインカー」や「USB充電器」などの配線をつなぐ時にはこの端子を使用します。
端子にはいくつか種類がありますが、最初はこの「キボシ端子」があれば十分です。
車やバイクの配線処理に使用される端子としては、一番有名な端子です。
カー用品店やホームセンターなどでも売っています。
ポイント
- メーカーによって端子のクリアランス・サイズに若干の差があります。複数購入する時は同じメーカーのものを揃えるといいです。
- 電工ペンチを使って配線と接続するのですが、最初は失敗すると思うので多めに購入しておくことをおすすめします。
注意ポイント
「キボシ端子」を使っての接続は一本づつ個別につなぐことになります。そのため「かさばってしまう」というデメリットもあります。
「ウインカーやUSB充電器」であれば問題になることはありません。(純正でも採用されています)
ですが「メーターなどのたくさんの配線」を全てキボシ端子で接続すると、元の場所に入り切らなくなってしまいます。
純正品ではこのカプラーを使用していることが多いです。
メンテナンス性を上げたり、大量の配線処理をするならカプラーの使用が望ましいですが、初めて触るならキボシ端子で大丈夫です。
配線作業に使うのは「電工ペンチ」
次に電工ペンチです。キボシ端子など「端子を配線と接続する」のに使います。
※キボシ端子はペンチなどでカシメると「見た目はそれっぽく」なりますが、「つけ外しの際に、高確率で端子が外れます。」
バイクは振動があるので、走行時に外れる可能性もありますね。
一度カシメた端子をもう一度使うことはできません。(カシメ作業に失敗したら、その端子はもう使えません)
走行時や出先で端子が取れてしまうと、面倒なので正しい道具を使って配線作業を行ないましょう。
ポイント
電気関係の不具合は「トラブルが起きたとき」の原因追求が大変です。
電気関係って0か100かみたいな所があって、「動くか動かないか」の2択です。
しかも中途半端に動くときと、動いてくれないときがある場合なんて最悪です。
バイクの配線作業① ~キボシ端子の取り付け方〜
ポイント
配線作業の基本は「キボシ端子」を使用した接続です。
まず配線の被膜を取ります。
専用のツールもありますが、大体の電工ペンチには被膜取りの部分がついているので、それを使えば大丈夫です。
中の銅線が出てくればOKです。
このままだと「銅線が毛羽立ってしまう」ので、僕の場合は銅線をネジってまとめます。
また端子のサイズと銅線の細さにもよりますが「ねじった銅線を折り返してサイズ調整」をすることもあります。
カシメる前に端子を保護するスリーブを通しておきます。
注意ポイント
端子は金属なので「車両の金属部分にふれると」電気が流れてショートします。→(ヒューズが飛びます)
スリーブは「端子を保護するゴム」の部品で、大体端子とセットになっています。
このスリーブは後から通すことが出来ないので、つけ忘れに注意しましょう。
電工ペンチのサイズの合っている部分を使用し、端子をカシメていきます。
一気にやろうとすると失敗することがあるので、自分の場合は一回り大きな部分で形を整えてから本締めをします。(僕のやり方です。)
オスとメス、両方カシメるとこのような状態になります。
注意ポイント
オスの端子とメスの端子がありますが、「電気が流れて来る大元、車両側がメス」の端子になるように取り付けます。
(↑の写真だと”左側がメス”、”右側がオス”です。)
端子が何らかの理由で外れてしまった場合、メスの端子側はスリーブが大きく、端子が保護されています。
メス側は端子が露出しません。
つまり端子が外れても、車両の金属部分に電気が流れることはありません。
逆にオスの端子側はスリーブから端子が飛び出しているので、金属に触れると電気が流れてしまいます。
端子がうまく取り付けられていないと取り外す際に、配線から端子が取れてしまうことがあります。
(たぶん最初はよく起こると思います。)
ペンチで強烈に引っ張ってやっと取れる(ちぎれる)くらいです。
すぐ取れてしまう場合、どこかに問題がある可能性が高いので注意しましょう!
以上が基本の工程です。
「ウインカーやテールランプ、USB充電器」など簡単な配線ならこれで十分です。
ペンチで端子をカシメると「トラブルの原因」になります。
端子をカシメるという作業は電工ペンチ(専用品)が無いと出来ません。
僕もそうだったんですが、普通のラジオペンチで代用しようと考える人、結構いると思います。
注意ポイント
ですが、端子を「通常のペンチ」でカシメることは絶対にやってはいけません。
いちいち専用の工具を買いたくない気持ちもわかります(笑)
↑の写真では、実験として「ペンチ」でキボシ端子を取り付けました。
ペンチでカシメると写真のように「平らに圧着」されます。
これだと銅線に噛み込んでいません。
接続して取り外すと、簡単に端子が取れてしまいました。
ペンチでカシメるとかなりの確率でこうなります。
中古車を購入した場合、カスタム(電装系)されている車両は要注意です。
半田で補強したりすればもう少し強度は出せます。
ですが、そこまでやるなら「電工ペンチ」を使ったほうが楽ですし、確実です。
そんなに高価なものでもないので、専用工具を使いましょう。
僕はセット物の安い電工ペンチを使っていますが、気に入って長いこと使っていますよ。
バイクの配線作業② ~「割り込ませる方法」〜
ウインカーやテールランプなど「今までついていた部品と取り替える場合」はキボシ端子で接続出来ます。
ですが、「新しく部品を追加したい」ときは配線を分岐させる必要があります。
詳細はこちらで詳しく解説しています↓
「誰でもできる」バイクにUSB充電器を取り付ける方法[簡単]
グリップヒーターの比較と「取り付け方」を解説![両方買いました]
キボシ端子を使った作業ができるなら、Y字型になった「電源分岐ハーネス」を使う事で配線を分岐させることができます。
簡単に接続するのなら、このような商品を使うのが早いです。
注意ポイント
しかし、キボシ端子を複数個使うことになるので、かさばってしまいます。
※スペースに余裕があればいいのですが、最近のバイクや車ではスペースに余裕がありません。
メーター交換などでは「ヘッドライトケースの中に、配線を収める」必要があります。
全ての配線をキボシ端子で接続すると、かさばってしまいケース内に配線を収めることができなくなります。
そのような場合は、これから紹介する「直接配線を割り込ませる方法」を使います。
「赤」配線の被膜をとります。
※今回は「赤」の配線に「黒」の配線を割り込ませます。
通常配線の皮膜を取るのは、電工ペンチについている被膜剥きでできます。
しかし、「車両に配線が取り付けてある状態」で中間部分のみ配線を取るのは難しいです。
そこで、この作業では「ワイヤーストリッパー」という工具を使用します。
配線剥き専用の工具です。
昔は高価でしたが、今は2000円程度で買えるので、配線処理を複数ヶ所行う場合は買っておくといいですよ。
「黒」配線を「赤」配線に巻いていきます。
割り込ませる「赤配線」の中間地点の被膜を取ったら、そこに「黒配線」を巻きつけていきます。
5mm〜1cm程度あれば十分です。
ギボシ端子(カットしたもの)でカシメる
そのままだと、簡単に外れてしまうのでカシメ作業を行います。
ポイント
・キボシ端子をカットしたもので圧着します。
※専用の圧着端子も売っていますが、個別に揃えると費用がかかるので「キボシ端子」を利用します。
尖っている部分はニッパーでカットしてください。
これを先程銅線を巻いた部分にセットしてカシメます。
きちんとカシメられていれば、この状態で配線が抜け落ちることはありません。
熱収縮チューブで保護
このままだと金属部分が露出しているので車体の金属に触れた際にショートしてしまいます。
熱収縮チューブを使って保護します。加熱しすぎると溶けてしまうので様子を見ながら行いましょう。
熱収縮チューブは端子の形に収縮するので振動などでズレる心配もありません。
今回は家の中で行いましたが、熱収縮チューブをセット出来ないこともあります。(メインハーネスが車両についたままだと、熱収縮チューブを通せません。)
※ホームセンターなどで売っているのですが、ビニールテープと違い、このテープには糊がついていません。
伸縮性のある素材で出来ているので、伸ばしながら巻いていくとテープ自身の縮もうとする力で密着します。
巻き終わりだけはビニールテープで止める必要がありますが、糊を使っていないので熱でベタベタになりません。(ビニールテープで配線を巻くとエンジンの熱でベタベタになります。)
これで完成です。
「直接接続したほうがスリム」なのがよく分かると思います。
配線の分岐が一本の場合はそこまで影響ないですが、複数本になると容積に大きく影響します。
スペースに余裕がない時はこの方法を使います。
「パッチンカプラー」(エレクトロタップ)は本当に駄目なのか?
配線について調べていると、写真の「エレクトロタップ」(通称:パッチンカプラー)について知る機会があると思います。
「接続したい配線」と「電源を分けたい配線」この2本を挟むだけで電源の分岐が完了するというお手軽商品です。
一見とても良さそうですが、この「エレクトロタップ」バイク・車好きからはとても嫌われています(笑)
注意ポイント
なぜなら「ちゃんとした使い方」をしないと配線が切れてしまうから。
「既定値」から外れた太さの配線に使うと、配線が切れてしまったり、通電しなかったりします。
社外品に同梱されていることが多いですが、社外品は「純正の配線とは径の異なる配線」が使われていたりします。(特に海外メーカー)
つまり同梱されている「エレクトロタップ」も車両の配線とは径が合っていないものです。
そのエレクトロタップを使って配線を接続するとトラブルが発生してしまうんですね。
実際、オートバックスなどでドラレコなどを付けてもらう際には、この「エレクトロタップ」を使用しています。(確認済み)
ですが、プロが適合するサイズを使用するのでトラブルにはなりません。
素人のバイクカスタムで考えると、最初は配線の太さを判別するのは難しいです。
エレクトロタップをサイズごとに揃えるのも大変です。
失敗すると配線を痛めることもあるので、当記事ではギボシ端子やカプラーをおすすめします。
バイクの配線作業③ ~「カプラー」を使った接続~
先に紹介した、「キボシ端子を使った配線作業」や「直接割り込ませる配線の接続」では対処出来ない場合があります。
わかりやすい場所ではバイクのメーターです。
- 「スペース的にキボシ端子は使えない」
- 「直付けではメンテナンス性が悪くて困る」
そんな場所ですね。
キボシ端子で接続すると、ヘッドライトケースの中に収まらないのです。
配線が多い場合はたくさん接続できるカプラーを使います。
ポイント
社外品の小さなヘッドライトを使う場合、それでも入りません。
直接配線をつないで「必要最低限の配線以外はカット」してしまうこともあります。
「キボシ端子」と比べるとスペースの確保もでき、構造上繋ぎ間違いも起こりません。
ウインカーなども「カプラー」で接続しておくと、ワンタッチで取り外しができるので整備性が上がります。
メーターなど多くの配線を接続する場所では、純正品としても採用されているので信頼できますね。
「カプラー」の仕組み
今回は入手しやすいエーモン製のカプラーを使用します。
カー用品店やバイク用品店で売っているものです。
ポイント
カプラーはプラスチックで出来ています。
脱着を行うときは「上部の突起を押しながら」引き抜きます。
「平型端子」をカシメた配線をセットすることで配線をまとめて着脱できるようになります。
平型端子は「キボシ端子の親戚」みたいなものです。
ちゃんと電工ペンチを使用してカシメましょう。
カプラーに使う平型端子には「カエシ」がついていて、カプラーに引っかかる事でカプラーに固定されます。
「カチッと」はまれば引っ張っても抜けません。
抜けてしまう場合、端子の向きが間違っているか、差し込みが甘いはずです。
確認してみましょう。
「カプラー」から配線の取り外し方
外し方は少しコツが入ります。
ポイント
「カエシ」がカプラーに引っかかっているので引っ張っても抜けません。(釣り針と同じです。)
逆に言えば「カエシ」を外す事ができれば、少しの力でも抜けてくれます。
平型端子の「カエシ」を押さえるには先端の細い工具(ピックツール)を使います。安物で十分です。
これを差し込んで、「カエシ」を押さえながら配線を引っ張ると抜けます。
慣れれば苦労せずに取り外せるはずですが、先端が細いので注意しながら作業してください。
コツはドライバーは抑えるだけで「カプラーを操作する」(力を入れる)感じです。
古い車両では「カプラーのプラスチックが硬化」したり「ゴミや砂などが詰まる」事でカプラーがうまく着脱できないことがあります。
爪を怪我しないように注意しましょう。
~防水カプラーは必要なのか~
今回の解説に使用したカプラーには防水性能はありません。
ですが、「ウインカー」や「テールランプ」「メーターの配線」は基本的に雨(水)がかからない場所に設置します。
(ヘッドライトケースの中やシート下など)
僕自身、バイクは完全に趣味として乗っています。
そのため雨の中を走ることはほとんどなく、水がかかるとしたら出先で雨に降られた時か、濡れた路面を走って水を巻き上げた時くらいです。
今まで水によるトラブルは経験したことがありません。
ただ雨の中でもバンバン乗られる方は防水タイプの方がいいのかもしれません。
(そうはいっても設置場所を間違わなければ、大丈夫だとも思っています。純正品で採用されているので。)
バイクの配線処理~まとめ~
ポイント
今日解説した配線処理ができると、「USB充電器の取り付け」などの簡単な作業から、「社外品のメーター交換」など割とヘビーな作業まで対応できます。
車の配線処理も同じで、「シガーソケット」を追加したり、「社外メーター」を取り付けたりする時に使えますね。
専用工具を揃える必要がありますが、一度プロにお願いしたら完全に元が取れます。
この先バイクに乗ることを考えれば、配線作業をすることがありますよね。
(例えば、「ウインカーの交換」「グリップヒーターの取り付け」や「スマホ用充電器の取り付け」など。)
もし作業をプロに依頼したときの金額はだいたいこんな感じです。
- ウインカーの交換(4箇所):6600円〜
- グリップヒーターの取り付け:6000円〜8000円
- USB充電器の取り付け:5000円〜10000円
2輪館 ピット作業工賃表 (クリックで公式サイトへ飛びます)
工具に初期投資しても、すぐに「工具代」を回収できるのがわかると思います。
実際、「バイク」という趣味を長く楽しんでいる人には「整備・カスタム」を自分で行なう人が多いのも事実です。(浮いたお金を他のことにまわせますよね)
チャレンジするか迷っている人は、ぜひ挑戦してみることをおすすめします!
※今回使用した道具
電工ペンチ→配線作業に必須です。
ワイヤーストリッパー→配線むきに便利
ギボシ端子→定番の端子です。
Y型接続端子→手軽に配線を分岐させるならこれ。
自己融着テープ→配線の保護に使います。
カプラー→整備性を上げてくれます。
配線が多い場合はこっち
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