今日紹介するのは「ライダーに対しての振動対策」ではなく、「車両のボルト・ネジの緩みに対する振動対策」です。
先日久しぶりにバイクに乗ってでかけたところ、チェーンカバーを固定しているボルトが脱落してしまいました。
チェーンカバーは変形したものの、すぐに気がついたので大きな問題にはなりませんでしたが、「振動対策」について考えさせられる出来事でした。
そこで今日は、僕が施している「振動対策(ネジ・ボルトの脱落防止)」について書いていきます。
目次
1、単気筒エンジンは振動が大きい
そもそもバイクって、車に比べ振動が多いです。
車はエンジンルームと座席では完全に区切られていますが、バイクではエンジンにまたがっているようなものです。
僕は一番最初に乗ったのは「振動が少ない」とされる4気筒バイクでしたが、それでも振動が多く、納車時にびっくりしたのを覚えています。
そんなバイクの中でも、単気筒バイクは振動が特に多いことで知られています。
SRなどが特に有名ですよね。
HONDAの「CB400SS」「CL400」ではエンジン内部にバランサーが入っているので、不快な振動は少ないですがそうは言っても単気筒バイクです。
やっぱり振動はあります。(乗っていて不快な振動はあまりないのですが)
振動が多いバイクで問題になるのが、「ネジが緩む」ということです。
しっかりと締め込んでも、走行距離が伸びてくると、振動でネジが緩んでしまいます。
緩むだけならいいのですが、最終的にはネジ(ボルト)が脱落してしまいます。
ですので、単気筒バイクのオーナーは定期的に「増し締め」を行なう必要があります。
今回は「チェーンカバー」を固定しているボルトが外れましたが、以前「ステップバー」が取れたこともあります。(社外品)かなり強いトルクで止まっている部品ですが、周期的に振動が加わると少しずつ緩んでしまうんですよね。
走行中「いきなり、足を置く場所が無くなる」のでびっくりしました(笑)
※4気筒車など振動が少ないバイクでも「部品を社外品に交換すると」振動が大きくなることはよくあります。
2、振動の対策
主に「社外品」に部品を交換すると振動が増えるので、以下で紹介する品を使う頻度が増えます。
純正品って振動対策をきちんと考えられているので、社外品に交換すればするほど振動が増えるんですよね。
ここで紹介している「振動対策品」はサイズが様々です。
同じバイクでも、どこに使うかによってサイズが大きく異なります。
近所のホームセンターに行って探してもいいのですが、サイズによって在庫がなかったりすると面倒なので最近は「モノタロウ」でサイズを指定して買うことが多いです。
①:緩み止めワッシャー
「バネ座金」(スプリングワッシャー)
ねじれているので、ネジを締めていったときに「元のねじれている状態」に戻ろうとする力が働きます。
この力があることで、ネジが回転しにくくなる→緩みにくくなります。
バネ座金が素材に食い込むので緩み止めとしての効果が出ますが、素材自体が傷ついてしまうのも特徴です。
オートバイにも一部使われている場所はありますが、純正で使用されていない場所に使うと、傷が付いてしまうのでよく考えてから使いましょう。
「緩み止めワッシャー」
通常のワッシャーに「セレート」というギザギザが付いたものです。
ボルトを締め込んでいくと、このギザギザが素材に食い込むので緩み止め効果が期待できます。
ただ「バネ座金」と同じく、対象の部品に多少の傷を付けてしまいます。
②:緩み止めナット
ナットの内側にナイロンが埋め込まれている「ナイロンナット」が有名です。
このナイロンナットは「ボルトを締めていき、ナイロンの部分を超えるとき」に「ナイロンが削れて」めねじが形成されます。
ボルトとナットとの「隙間がほとんどない」のでネジが緩みにくくなります。
ナイロン部分が削れることで緩みにくくなる構造なので、基本は再利用ができません。(緩みどめとしての効果が減る)
ボルトがナットから大きく飛び出すような場所でも、効果は減ってしまいます。
③:耐震ゴム
これは緩み止めというより、振動で「ビリビリ」震えるのを止める目的で使います。
場所としては、ナンバープレートやメーターの固定などです。
メーターでは、振動対策をしていないとメーターが震えてしまい正確な数値がわからなくなってしまいます。
ナンバープレートも、エンジンの回転数を上げると「ビリビリ」震えます。
ナンバーが震えること自体は問題ないのですが、この振動によってナンバープレートを固定する穴から亀裂が入ります。
距離を走らないと分からない場所ですが、10年くらいすると「ナンバープレートが割れる」ことはよくあります。
※特に純正フェンダーを交換していると、より顕著です。
純正フェンダーは野暮ったさがあるデザインのものが多いですが、ナンバープレートを全体で支えるようになっています。(負荷が分散する)フェンダーをカットしたり、社外品などでは「ナンバープレートのボルト」だけで支えるものが多く、取り付け穴から亀裂が入りやすいです。
④:ネジロック剤
ネジロック剤は簡単に言うと、ボルトの接着剤のようなものです。
ネジロック剤を塗ったボルトとナットを締め込んでいくと、互いに噛み合っている部分は「真空状態」になります。(接触している部分)
そうなるとネジロック剤が科学反応して硬化していきます。
ネジロック剤には強度がいくつかあります。
高強度を選んでしまうと「二度と外せない」くらい強力に接着します。慎重に選びましょう。
オートバイでは「高強度が必要なボルト」は少ないので、通常の振動対策では」低強度か中強度あれば十分だと思います。
巻き込まれた「チェーンカバーの修正」
①:チェーンカバーが外れて、タイヤに巻き込まれた。
先日、朝早くにツーリングに行こうと走っていたときのことです。
いきなり車両後部から「ガラガラ〜」という音がするようになりました。
「なんか踏んだのかな?」とも思いましたが、その音が続くので車両に問題が発生したと考え路肩に停車してよく見てみると、チェーンカバーが外れてタイヤに巻き込まれていました(笑)
純正ではプラスチックのチェーンカバーですが、僕の車両は金属製(ステンレス)のチェーンカバーに交換してあります。(純正のプラスチック製だと、経年劣化で色が落ちてしまうんですよね)
この車両は、チェーンカバーを2箇所のボルトで固定するのですが、片方のネジが脱落してどこかへ飛んでいってしまったようです。
もう片方のボルトは付いているのですが、片方が外れて遊んでいるので「タイヤに巻き込まれて」変形していました。
この状態のまま走るのは危険なので、コンビニで「ヘアゴム」を購入して仮止めし、家まで帰りました。
本当はタイラップ(結束バンド)があればよかったのですが、さすがにコンビニには売っていませんよね。
②:バイス、万力で簡易的な板金作業
家に戻ってから、適当なボルトでチェーンカバーを固定してみましたが、変形によって「チェーンとのクリアランス」が少なくなってしまい、チェーンと干渉してしまいます。
段差などで、スイングアームが動く(サスペンションが伸び縮みする)とチェーンは「張りが強くなったり、弱くなったり」遊びが出ます。
このままでも使用には問題ないとは思いますが、せっかくなので直しておきます。
アルミであれば、2~3mmまではそこまで固くないですが、ステンレスは硬いです。
一番簡単なのは腕力で無理やり直す方法ですが、今回はきちんと道具を使います。
ホームセンターで木材の切れ端を買ってきました。全部で100円です。
そこに、小型のバイスを取り付けます。
※バイスは1つあると本当に便利です。部品やステーを自作するのにも使えます。大型のものが多いですが、ちょっとした加工なら小型のものでも十分です。小さなものでもあるのとないのとでは大違いです。
これは昔にアストロかどこかで購入したものです。
チェーンカバーをバイスに固定したら、万力で挟んで調整していきます。
手で持って作業してもいいのですが、金属の加工では手を切りやすいので十分注意しましょう。