バイクについて バイク整備に使う工具

[これから始めるバイク整備に!]まず揃えたいケミカル9選!

2021年5月9日

工具箱に常備したいケミカル

今日は工具と合わせて一緒に使うケミカルについてです。

用品店にはいろいろなケミカルが並んでいます。今日は使う頻度が高い、工具箱などに入れておくと非常に役に立つケミカルを紹介します。

今日紹介するものは「実際に僕の工具箱に入っているもの」や、「自宅に必ずストックされているもの」です。

この記事が参考になる人はこちら

・これからバイク整備をはじめたい
・もっと整備を快適に行いたい
・便利なケミカルが知りたい

「工具箱に常備」しているケミカル4選

工具箱に常備したいケミカル
工具箱に常備したいケミカル

パーツクリーナー

これは鉄板です。整備をする際にほぼ毎回と言っていいほど使用します。

バイクはチェーンのグリスが飛び散ったり、オイルにじみなどにより「油分が汚れを集めて」しまいやすいです。

特に古い車両では、オイル漏れなどのトラブルが発生していることがありますので、走行中に砂や空気中の汚れを集めてしまいます。

エンジン下部(オイルパンがあることが多い)やチェーン付近なんかは真っ黒に汚れていることが珍しくないです。

そういった場所では油汚れを洗浄する作用のあるパーツクリーナーが力を発揮します。

油分を取り除くケミカルなので、「塗装前に脱脂目的で使用」することもありますし、「両面テープを貼る前に脱脂」するためにも使います。

バイクに限らず、自転車や車など「駆動する部品がある金属製の製品」は、耐久性を保つ事や錆防止の為に油分が使用されていることがほとんどです。(バイクならエンジンオイルやチェーンオイルを使いますよね)

ということは整備する際や洗浄する際はパーツクリーナーを使う頻度が高いということでもあります。

価格も手頃ですし、ホームセンターなどでも必ずと言っていい程入手可能なので一本持っておくと便利です。

使う場所・場面
・金属部品の洗浄(古い油汚れなど)
・部品の脱脂

使ってはいけない場所・場面
・ゴム、プラスチックなど

KURE 556

これも鉄板ですね。バイクや車の整備をしない人でも持っている人は多いと思います。

パーツクリーナーと同じようにホームセンターでほぼ間違いなく入手可能です。

この556、「固着したネジを回す」時に使うイメージがあるのではないでしょうか?

粒子が細かいので、ネジ穴に浸透しサビで固着したボルトを回すことができるようになります。

その他、防錆や潤滑などの効果もあるのですが、粒子が細かくサラサラした油であると同時に揮発性も高い油なので、オートバイではこの2つの効果を目的に使うことはあまりありません。

例えばチェーンに潤滑目的で使うとすぐに油分が飛んで行ってしまいます。

チェーンルブなどのチェーン用は粘度が高いです。
(チェーンには注油する必要がないという話は一旦置いておきます)

錆を防ぐために使うことも上記と同じで油分が無くなってしまいやすいのであまり使いません。

では何に使うかというと、「固着したネジ」はもちろん「錆落とし」や「金属加工の際の潤滑油代わり」などに僕は使っています。

556も安価で入手しやすいですし、小さいサイズも売っているので工具箱に忍ばせておくと活躍します。

使う場所・場面
・固着したボルト、ネジ
・サビ落とし
・金属加工の潤滑油

使ってはいけない場所・場面
・チェーンなど粘度が必要な場所

万能グリス、耐熱グリス、シリコングリス

バイクにはエンジンやチェーン以外にも可動部品が多くあります。(シフトやブレーキパッド、レバーなど)

そういった場所では潤滑するのに「グリス」を使うことが多いです。場所によって、高温になるので「耐熱グリス」を使ったり、ゴムに悪影響のない「シリコングリス」を使うことがあります。

単体で買うと一人で使うには量が多いことがあるので、セットになって売っているものがおすすめです。

僕はホームセンターで連結できる容器を買ってきて、この3種類のグリスをセットにして工具箱に入れています。

使う場所・場面
・シフト周り(通常のグリス)
・ブレーキパッド(シリコングリス)
・ブレーキマスターシリンダーのブーツ(シリコングリス)
・マフラー周辺のボルト(耐熱グリス)

使ってはいけない場所・場面
・それぞれ特徴によって使い分ける

メタルコンパウンド

金属用のコンパウンドです。アルミのパーツやメッキされたパーツに使うことができます。

逆に塗装面(アルミなど金属部品でも塗装されたものはNGです)や、樹脂部品には使用できません。

バイクでは「ハンドル」や「ホイールリム」、「フェンダー」、「ミラー」なんかがメッキ処理されていることが多いです。

エンジンのクランクケースカバーはアルミで出来ている車種が多いですが、塗装されている場合は表面を研磨してから使うことができます。(いわゆるバフがけ)

「マフラーのサイレンサー」はアルミでできていることも多いですし、純正ではメッキされていることも多いですね。

「メッキ」は表面がくすんだくらいなら、金属用のコンパウンドを使用することできれいになりますが、下地に錆が発生し表面が凸凹になってしまっている場合、完全にきれいにすることはできません。

コンパウンドで磨き込んだり、耐水ペーパーで表面をきれいにしようとするとメッキまで一緒に剥がれてしまいます。下地の錆を落とす場合はメッキを一度剥がさないといけません。

その後「再メッキ」する流れになるので新品の部品を買った方が安くなるケースがほとんどです。

「表面のメッキがはがれないよう慎重に、かつできる所までくすみをとるように磨く」のが現実的です。

初めて使うとビックリするくらいきれいになります。

磨き込めば「アルミ」や「メッキ」は鏡のようになるので、使ったことのない人は一度使ってみてください。

この手の金属磨き用コンパウンドはいくつか種類があり、僕も何種類か使いました。

感想としては、金額が高くなるほど「早く」「楽に」きれいになるイメージです。数百円のものでも、耐水ペーパー(ヤスリがけ)から丁寧に作業すればきれいにはなります。「労力と時間」を考えるとメタルコンパウンドが僕にはベストでした。

使う場所・場面
・メッキされた場所(ハンドル、フェンダー、ホイールリムなど)
・アルミ素材で研磨された場所(サイレンサー、クランクケースカバーなど)

使ってはいけない場所・場面
・塗装面
・アルマイトされたアルミ部品
・樹脂パーツ、プラスチックパーツ

「自宅に常備」しているケミカル5選

家に常備しているケミカル
家に常備しているケミカル

シリコンスプレー

シリコンスプレーは溶剤を使っていないのでゴムやプラスチックへの攻撃性が少なく、いろいろな所で使用することができます。

バイクは関係ないですが、「網戸や窓のレール」に使えば動きが驚くほどスムーズになりますし、リュックなんかの「ファスナー」に使えば、これもやはり動きが良くなります。

「古い車両のカプラーなどが外れない時」に使えば動きがよくなりますし、樹脂の部品(ハンドルのスイッチボックスや純正のチェーンカバーなど)に使えば新品時の艶が戻ったようになります。

エンジンの艶出しにも使う人がいるようですが、シリコンスプレーはもともと耐久性が低く、特に高温になると効果が失われる傾向があるので、おすすめはしません。

ですが汎用的にいろいろな場所で使えますし、持っていると助かる場面も意外と多いので一本持っておくと便利です。

シリコンスプレーは人体に害があるので換気しながら、または外で使いましょう。

エレクトロニッククリーナー

接点復活剤と呼ばれるもので、端子に付着した汚れを落としてくれるスプレーになります。

バイクでは配線のコネクター部やヒューズ、バッテリーコネクターなんかで使用します。

過去にスイッチボックスの不具合がこのスプレーで掃除したことで2回治りました。(別の車両です)基盤に汚れが付着した事が悪さをしていたようです。

プラスチックにも使用できますし、パソコンやオーディオのジャックなんかもこのスプレーを使うことで不具合が治る事があります。

バイクに限った話ではないですが、「端子をしっかりと接続したのに通電しない」場合、どこに原因があるのかわからなくなってしまいがちです。

実は「端子に付着した汚れのせいで通電しない」ことも少なくありません。

トラブルの迷宮に入る前にさっと確認しておけるので電気関係の整備をするときによく使います。

ロックタイト フリーズ&リリース

皆さんはサビなどで「固着したボルト」を外したいとき、どのように対処しますか?

多くの場合「556」や「ラスペネ」などの浸透潤滑剤を使うと思います。

それで外すことができればいいのですが、新車から長い年数が経過した車両や、「塩化カルシウム」が撒かれる地域で乗られていた車両は浸透潤滑剤では歯が立たないこともあります。

プロの整備場では溶接したり、ボルトを温めたりしながら外すことができますが青空整備ではできません。(マンションの駐輪場で溶接してたら怒られますよね)

そんな時に役に立つのがこのスプレーです。

このスプレーは潤滑剤を噴出すると同時に、外したいボルトを強烈に冷やします。

(メーカーの説明ではー43℃まで冷やすそうです。)

金属は熱で膨張し、冷やすと収縮する特徴があります。
冷却する事で金属でできたボルトは縮むので、一緒に出てきた潤滑剤がボルトとナットの間に浸透してボルトが緩みやすくなるという流れです。

この「フリーズ&リリース」レビューでは絶賛する声から、イマイチな評価まで様々なようです。

僕が使った感じだとコツが2つあります。

1:ボルトとナットの温度差によって隙間ができ潤滑剤が浸透する仕組みなので、スプレーを噴出する場所はボルトにしっかりと狙いを定めること。
2:しっかりと冷却できるように大量に噴出することです。垂れた潤滑剤で周辺がオイルまみれになるくらい吹きかけます。

もったいなく感じるので、ダバダバ使うのは気が引けるのですが、「ボルトの冷却」が足りないとこのスプレーの性能を引き出せない気がします。

ちなみに僕は車のマフラーのエキパイと中間パイプを固定しているボルトを取り外すのに使いました。

「かなり高温になるボルト」だからでしょう。サビでどうしようもなかったのですが、このスプレーによってなんとか取り外す事ができました。(ちなみにこのボルトを外すのに5時間くらいかかっています。)

このボルトにアクセスするまでにエアロを外したり、ジャッキアップしたり青空整備では手間がかかります。
もしこのボルトを外す事ができなかったら、外した部品を組み直して車屋さんに持って行かなければいけないですから、このスプレーがあって助かりました。

大体の場合は、556やラスペネを浸透させておくと回るようになるのですが、その方法が通用しなかった場合にはこのスプレーがあると助かります。

ロックタイト ネジロック

今度は上記のスプレーとは逆にネジ(ボルト)を固定するためのケミカルです。

ネジ用の接着剤のようなもので、ネジ緩み止め剤とも呼ばれます。

「ブレーキディスクとホイールを止めているボルト」やステップのボルトなどに使われていて、塗った後にボルトを締め込んでいき「ボルトとナットの間に空気がなくなる」と硬化します。

「シングルエンジンのバイク」に乗っている方、「気がついたらボルトが緩んでいた」という経験ありませんか?

バイクには振動があります。

エンジンが発生させている「周期的な振動」によってボルトやネジが緩んでいくので、エンジンの振動が強いバイクは特にボルトが緩みやすくなります。

ナンバープレートや社外品の部品なんかは緩みやすいです。

バイク用途に限られた事ではないですが、「構造上きつく締め付ける事ができない」けれど、外れたら困るイモネジなんかにも使います。

純正品はゴムを使うことで、振動を軽減していたりしますが、見た目や機能を変えるための社外品にはそういった配慮がされていないケースが多いです。僕は社外品のバックステップ(足を乗せるバーの部分)が走行中に脱落したことがあります。

(さすがにすぐ気がついたので回収できました。)

ネジロック剤は強度が何種類かあります。(低強度・中強度・高強度など)

せっかくロック剤を使うなら強いほうがいい気もしますが、高強度は「永久接合(二度と外れない)に近いほど強く接着する」ので自分の使用する場所をよく考えて購入しましょう。

ネジロック剤を使う場面では中強度あれば十分な事が多いです。(ちなみに僕は振動対策で使う場合、低強度を使います。)

取り外す可能性があるなら高強度は選ばないようにしましょう。

シリコンオフ

最初にパーツクリーナーを紹介しました。

シリコンオフはパーツクリーナーと同じように脱脂に使うケミカルです。

パーツクリーナーは汚れ落とし(洗浄)の他に脱脂効果もあるスプレーですが、こちらは脱脂専用のイメージです。

スプレータイプのケミカルはたくさんありますが、溶剤が入っていることが多く、プラスチックやゴムに相性がよくないです。(最悪、変色したりする場合も)

なので理論上はプラスチックパーツ(車のダッシュボードや、バイクのカウルなど)を脱脂したい場合はパーツクリーナーよりもシリコンオフの方が向いています。

とはいえ「ステッカーを貼ったり、両面テープを使うための脱脂」程度であれば、プラスチックパーツにパーツクリーナーを使っても目で見て分かるような影響はほとんどありません。(急にプラスチックが溶けるとかはないです)

僕が両方を使って1番感じる違いは、「脱脂能力の差」です。

車のダッシュボードにポータブルナビを取り付けるのに、「パーツクリーナー」を使って脱脂していた時は、月に1回くらい外れていましたが「シリコンオフ」にしてから外れなくなりました。

ダッシュボードってきれいな平面ではないですし、自動車も走っていれば振動が加わります。(車の内装用の強力タイプの両面テープを使っていました。)
その後、脱脂にはシリコンオフを使っています。

まず揃えたいケミカル9選! 〜まとめ〜

以上が僕が自宅に常備しているケミカルです。

今日紹介したケミカルのほとんどはホームセンターで手に入ります。一度買ってしまえば、簡単には無くならないので長いこと使えると思います!

整備は「正しい道具を正しい手順で使う」事が重要なように、「場所・症状に適したケミカルを使う」事も大事ですよ!

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