先日、キャブレターセッティングの記事を書きましたが、ようやくセッティングがまともになってきました。
とりあえず、ここまでをまとめておきます。
現状ぼくの車両のセッティングはこちらです。
・メインジェット 150
・純正ニードル ワッシャー0,5mm(1枚)
・スロージェット 45
・パイロットスクリュー2回転1/8戻し
車両の状態は以下の通りです。
・スーパートラップマフラー(皿6枚)
この記事はこんな方におすすめ
- バイクの調子が悪い。
- 高回転まできれいに回らない。
- マフラーを変えたら調子が悪くなった。
目次
キャブを触る前に・・・
この記事を読んでいる人は、「自分のバイクのキャブセッティングがズレているのではないか?」と考えている人が多いと思います。
ですが、まずキャブを疑う前に以下の確認をしてください。
・エアクリーナーはいつ交換したか?
・プラグはいつ交換したか?
・スロットルケーブルに負担がかかる取り回しになっていないか?
エアフィルターの交換はこちら↓
スロットルケーブルの交換はこちら↓
こう思い込んで、キャブを調整してみたものの「実は別の場所に原因があった」なんてことはよくあります。
キャブの作業は、一度の作業でセッティングが決まることはあまりなく、「何度も調整」してベストな位置を見つけていきます。
時間と手間をかけた挙げ句「別の場所が原因でした」では報われないし、セッティング沼に入ってしまいます。
キャブの作業に入る前に、「他の場所に問題がない」ことを確認してから取り組むことをおすすめします。
1:「低回転域の調整」スロー系・パイロットスクリュ
PS調整する時は以下の症状があるときです。
・アイドリングからアクセルを少し開けたときのツキが悪い。
・車の後ろについて低回転でアクセルパーシャル(加速も原則もしない状態)でゴボつく
・エンブレを掛けた時、マフラーからパンパン音がうるさい
こんな時は、PSを調整すると改善がみられる事があります。
僕の場合、アフターファイヤーが完全になくなるまで燃料を濃くすると、濃すぎる感覚です。
レース車などプロがセッティングを合わせた車両でも、エンブレ時のアフターファイヤーは出ています。→そもそも純正マフラーでもアフターファイヤー自体は出ています。純正マフラーは消音効果が高いので、実際には出ていないように感じますが。
キャブレター車では「低回転域」の燃調調整はスロー系と呼ばれる場所で調整します。
「パイロットスクリュー」はスロー系の一部です。
スロージェットを交換することもできますが、マフラーの交換程度であれば「PS」の調整でなんとかなることが多いです。
PS調整は「スタッビドライバー」があれば調整できますので、手軽に調整できます。
ツーリングで長距離を走るときに、少しずつ調整して1番調子がいい場所を探していきます。
PSはスロー系の一部です。
キャブレターの仕組みはこちらがわかりやすいです。
アイドリング不調や始動性不良ならパイロットスクリュー調整! (WEB!KE MAGAZINEに飛びます。)
スロージェットでガソリンの量を調整して、エアスクリューで空気の量を調整します。
そして最後にPSで混合気(ガソリンと空気が混ざったもの)を調整します。
厳密にいえば、それぞれ調整するのがベストですが「調整できる箇所が多く沼にハマりやすい」です。
エンジンをボアアップしたり大幅な改造が施された場合は細かく調整する必要がありますが、純正エンジンに社外マフラーを取り付けた程度であればそこまで大きくセッティングはズレないです。
ですので、まずはPSで調整することをおすすめします。
パイロットスクリューは締め込んだ所から「何回転戻すか?」で調整します。
純正の設定値は、「CL400」=2と1/4回転戻し 「CB400SS」=1と7/8回転戻しです。
CLとCBでは、若干異なります。
ニードルもCB400SSとCL400では異なるので、(CLの方が、燃料が濃い仕様です。排ガス規制などが関係していると思われます)実車に合わせて調整しましょう。
目安は純正適正値から「+ー1回転」程度です。これ以上変化させた方が調子がいい場合、他に問題がある可能性があります。(スロージェットが大幅にずれているなど)
Oリングに注意!
またPSはゴムのOリングが使われており、劣化してペシャンコに潰れているといくら調整してもベストな位置が出ません。
このOリングは消耗品なので、いつ交換したかわからない場合、新車からの部品が使われている可能性もあります。
CB400SSの最終モデルでも10年は楽に経過してますし、CLなら20年選手ですからゴム部品の交換が必要なのはわかりますよね。
そんなに高価なものでもないので、「なんか調子でないな~」と思ったら交換してみましょう。
2:「中回転域の調整」ニードルの調整
中回転域の調整は「ニードル」を調整します。
社外キャブ(レーシングキャブ)では、「ニードル本体を交換」(ニードルの細さが変わると、燃料の量が変わる)することで調整できますし、同じニードルでも「クリップ位置を調整」(バキュームピストンにニードルを固定する位置)することでさらに細かく調整が可能です。
先に説明したスロージェットと同じで、マフラー交換程度であればニードル本体を変更しなくても、クリップ調整で何とかなることが多いです。
そもそも純正キャブでは交換用のニードルが売っていなかったりしますので選択肢がない場合もありますが・・・
純正キャブで、この領域の調整はニードルのクリップ位置を調整する事だと思ってください。
中回転域は街乗りなどの通常使用で頻繁に使う領域です。
この回転域のセッティングがズレていると、街乗りで非常に乗りにくいバイクになってしまいます。
「キャブセッティング=メインジェット」のように考えている人が多いですが、実際に通常使用で大きく関係するのは中回転域です。
個人的な感覚としては、マフラー交換後などに街乗りで不具合を感じる場合、ここがズレている事が多いです。
ニードルはクリップ調整ができる車種と、できない車種の2種類があります。
標準でクリップ調整ができる車両では、そのままクリップ位置を調整すればOKです。
ですが、標準でクリップ調整ができない車両の場合、ひと手間掛ける必要があります。といってもそんなに難しいものではありません。
クリップ位置の変更は「バキュームピストン(ダイヤフラム)との固定する位置」を変更しているものです。
つまりクリップ調整できない車種(ニードル)でも「バキュームピストンとの固定位置」を変更できれば良い訳です。
方法は簡単で、ニードルをバキュームピストンに固定する際、ワッシャーを噛ませてニードルの高さを調整します。
キャブ内部は精密部品で構成されています。ほんの少しの変化でも乗り味は大きく変化します。
僕の車両では0,5mm厚のワッシャーを噛ますことで高さを調整しました。(ワッシャーの厚み0,5mm分ガソリンを多くした)0,8mmのワッシャーでは濃くなりすぎました。このレベルの厚さ調整になると思ってください。
今回使用したワッシャーは「内径2,6mm、外径7,5mm、厚さ0,5mm」です。
プラスチックやシリコン性だと、熱やガソリンによって変性するので金属製がいいと思います。
調整方法は、キャブの蓋を外してバキュームピストン(ダイヤフラム)を取り出しての調整となります。
僕は車体からキャブを外さずに行いますが、少しコツが必要です。
特に長年開けられていないキャブはネジが固着している可能性が高いので、車体から取り外しての作業をおすすめします。
バキュームピストンを取り外したら、作業は簡単です。ニードルのホルダーを外し、ニードルを取り外します。そこにワッシャーを入れて元に戻せばOKです。
3:「高回転域の調整」メインジェットの調整
高回転域の調整はメインジェットを交換します。
メインジェットはアクセルを大きく開けた時に作用します。
車検のあるバイクで、町中を安全運転している人だとあまり作用していません。大型バイクでメインジェット頻繁にが作用するような乗り方をしていると、免許も吹っ飛んでいきます(笑)
リッターバイクでメインジェットの調整をするのって、作業の難易度よりも「公道で試走する難易度」の方が高いです
レッドゾーン近くまで回すわけですからとんでもない速度出ますよね。
そういった意味では大型バイクの場合はシャシダイのあるお店に任せた方がいいのかもしれません。
「多少セッティングがズレていたとしても」とんでもない加速しますのでよくわかんない人がほとんどだと思います。
僕がメインジェットの変更を考える時は以下のような症状が出た時です。
・アクセルを全開にしたとき、高回転域でレブリミットがかかったように吹けなくなる。
・アクセルを全開にしたとき、途中で「ゴッゴッ」と苦しそうに吹け上がる。
・アクセルを全開にしたとき、スムーズに吹けない。ゴボつく。
「アクセルを全開にした時」というのがポイントです。
メインジェットの交換は、キャブを車体から取り外さずに行えます。
フロートチャンバー(ガソリンが溜まっている場所)を開けるので、ドレンボルトからガソリンを抜いてから行いましょう。
キャブを車体に取り付けたまま交換する場合、スタッビドライバーが必要です。
PSの調整でも使いますので、[CB400SS][CL400]に乗っていてキャブ調整にチャレンジしてみようと思っている人は1つ持っておきましょう。数百円で購入できます。
CB400SS CL400 キャブセッティングのまとめ
ここまで「低回転域」「中回転域」「高回転域」と調整方法を解説してきました。
ニードルにワッシャーを噛ます方法は「クリップ調整ができないタイプ」のほかのバイクでも可能です。
「CB400SS・CL400」に限って言えば、これらの調整をしっかりと行えば、ある程度のセッティングは出ると思います。
マフラー交換や、キャブセッティングで「バイクの性格が変わる」のを体験すると、バイクいじりがより楽しくなってきますよ。
低回転域の調整(パイロットスクリュー)はこちら↓
中回転域の調整(ニードル)はこちら↓
高回転域の調整(メインジェット)はこちら↓
キャブセッティングと「一緒に見ておきたい整備」はこちら↓