バイク整備・カスタム

[CB400SS][CL400] キャブセッティング ニードル編

2021年9月29日

キャブレターセッティング「ニードルの調整編」

今日はキャブのニードル領域の調整をしていきます。

キャブは大まかに3種類(アクセル開度、低・中・高)の領域ごとに、それぞれ燃料の調整が出来ます。

メインジェットとパイロットスクリューについて以前書きましたが、今回はニードル(中開度)の調整です。

パイロットスクリューの調整はこちら
メインジェットの交換はこちら

ニードルはアクセルを少し開けたときに作用します。(中型バイクだと市街地・幹線道路での加速など)

日常的にバイクに乗っているとよく使う領域ですので、この部分がずれていると「非常に乗りにくいバイク」になってしまいます。

できるだけ細かく調整したい箇所です。

純正のキャブレターの場合、ニードルは「クリップという調整機構」がついている車種とついていない車種があります。

クリップの位置を調整することで、ガソリンの量を調整することができますので、ついている車両の方が細かなセッティングができるということです。

残念ながら「CB400SS」「CL400」のニードルは「クリップの位置で調整ができないニードル」が採用されています。

ですが、燃料の調整が全くできないかというとそんなことはありません。

クリップの位置調整では「ジェットニードルの高さ」を変更しガソリンの流量を調整しているので、「ワッシャー」を噛ませて、高さを変えてやれば同じ効果が期待出来ます。

1:タンクを取り外す

タンクを外す時は、一応コックをOFFににしておきます
タンクを外す時は、一応コックをOFFににしておきます

まずタンクを外します。

「メインジェットの交換」や「パイロットスクリューの調整」ではタンクを外さずに作業できますが、今回はキャブの上面にある「バキュームチャンバカバー(蓋)」を外してダイヤフラムにアクセスするので、タンクがあると作業出来ません。

そのためまずはタンクを外しましょう。

タンクを外すには、シートを固定しているボルト2本とタンクを固定しているボルト1本を外します。

(ちなみにシートのボルトは6mmのヘックスボルト、タンクは12mmの6角ボルトで止まっています。)

2:キャブの蓋を取り外す

タンクを外すとキャブにアクセスできます
タンクを外すとキャブにアクセスできます

次にキャブの上面にある蓋(バキュームチャンバカバー)を外します。

2番のドライバーがあればキャブを取り外さなくても作業できますが、本来はキャブを車体から取り外してから行なう作業なのでクリアランスがギリギリです。

フレームが邪魔でキャブの+ネジにうまくアクセス出来ないかもしれません。その場合、キャブを押して角度を微妙に変えながら対処します。+ネジは「ドライバーが斜めに噛んでいる状態」で回そうとすると高確率で舐めるので注意です。

固着している場合や、舐めそうな感覚がある場合はキャブを取り外してから作業しましょう。

ダイヤフラムの切りかけとキャブの切りかけをあわせる
ダイヤフラムは中に入っているゴムの部品です

蓋を固定しているボルト(4本)を取り外したら、中に入っているスプリングとダイヤフラムを取り外します。

このダイヤフラム(キクラゲのような部品)は高価な部品ですので破損しないように注意です。

(2021年現在だと約9000円くらいします)もしこのゴム部分に亀裂や穴が見られたら交換が必要です。

3:ダイヤフラムに固定されているニードルを外す

プラスチックのホルダによってダイヤフラムの中にニードルが固定されています。

+2番のドライバーでホルダを回すとニードルを取り外す事ができます。

今回使うワッシャーの厚みは0,5mm
[CB400SS][CL400]純正のニードルはクリップ調整ができません。

取り外したニードルを見るとクリップ調整ができない事がわかると思います。

このニードルにワッシャーを噛ませて、ガソリンの量をコントロールします。

ワッシャーの選び方についてポイントがあります。

①プラスチック(シリコン)のワッシャーは要注意。

熱・ガソリンによって変形したシリコンワッシャー
熱・ガソリンによって変形したシリコンワッシャー

この部分はエンジンから近いので、かなり熱を持ちます。

またキャブはガソリンが通る機構なので、プラスチックもしくはシリコンだと変形したり溶けたりする可能性があります。

僕の車両には昔「シリコン性のワッシャー」を入れていたのですが、数年後に見たら溶けて変形していました。なんだか調子がいまいちだったので見てみたのですが、これでは調子が悪くなるはずです。

ここに使うワッシャーは金属製の方がいいでしょう。

②ワッシャーの厚み

今回使用したワッシャー
今回は左のワッシャーを使用

キャブのジェット類(ガソリンの通路)は番手によって穴のサイズ等が異なるのですが、とても微細な変化で番手の刻印がなければ目で見て分かるような違い(穴のサイズの差)はありません。

そのくらいの微妙な変化で調子が大きく変わります。

今回はワッシャーの厚さでガソリンの流通量を変えていく(増やす)のですが、厚みは0,5mm単位での調整になると思ってください。

以前は0,8mm厚のワッシャーを入れていたのですが、燃料が濃くなりすぎました。

燃料が薄い分には「ワッシャーを足していけば」厚みを確保できますからね。

ちなみに今回は「0,5mmのワッシャー1枚」を入れました。ワッシャーを入れる前の僕の車両は「丁寧に開けると問題ないが、ガバっと開けた時、4000回転くらいで引っかかりがある」という症状でした。結果から言うと、中開度で燃料が足りていなかったのですが、0,8mm厚のワッシャーでは燃料が濃すぎたようです。

このへんは車両によって違うので一概には言えませんが、少しづつ燃料を足していくことをおすすめします。

一気に燃料を増やすと、調子が悪くなるどころか「プラグがかぶって」出先でエンジンがかからなくなるかもしれませんよ(笑)

4:ニードルにワッシャーを通し、高さを調整

今回使うワッシャーの厚みは0,5mm
今回使うワッシャーの厚みは0,5mm

ニードルに入れるワッシャーのサイズは「M2,6×7,5×0,5」です。(内径2,6mm、外形7,5mm、厚さ0,5mm)

実際に使うのは1枚〜3枚程度だと思いますが、適合するサイズをホームセンターで探すのが面倒だったのでモノタロウで購入しました。送料の方が高かったです(笑)

以前は0,8mmのワッシャーを入れていましたが、燃料が濃かったので今回は0,5mmにしました。

ニードルをセットしたら、ダイヤフラムに装着してホルダーで固定します。

スプリングをセットして固定するのですが、ダイヤフラムの奥まっている場所にセットするので止めにくいですが頑張ってセットしましょう。

あとは元に戻していきます。

5:ダイヤフラムをキャブに戻す

ダイヤフラムをキャブに戻して行きます。

キャブを車両から取り外していないと、この作業少し面倒です。

手が入りにくい場所にあるので大変ですが頑張ってキャブにダイヤフラムをセットします。

ダイヤフラムのゴムにはリップ(ゴムの凸部分)があります。

その部分がキャブレターボディのリップ部、カバーのリップ部を合わせて取り付けます。

ここがズレるとゴムを挟んでしまうので、ダイヤフラムの破損や不調につながるので注意しましょう。

[CB400SS][CL400]キャブセッティング ニードル編 〜まとめ〜

今回は[CB400SS][CL400]のニードル調整を解説しました。

この車両のように「ニードルでクリップ位置の調整が出来ない車種」は同じように、燃料を調整することができます。

社外キャブに比べると、セッティングの幅は比べ物になりませんが、ある程度は対応できるはずです。

空燃比計を用いてセッティングを出したわけではないので、感覚的なものになってしまいますが、マフラー交換した当初に比べるとかなり調子よくなりました。

キャブの調整はシビアなので、初心者が行なうには難易度が高いです。

ですが、給排気系カスタムに伴ってセッティングができるようになると、バイクの楽しみ方がワンランク上がるような気がします。

ある程度整備に慣れてきた人は、チャレンジしてみても良いかもしれませんね。

それでは!

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